まず追記について述べ、その後で原記を記すことにします。
追記(2009年4月)
学事出版が、教育に生きるシニアのための人生応援誌として昨年、『みのりの時』を創刊
されました。 春、夏、秋、冬の季刊誌 1,260円(消費税込み)その2009年春号に杉田の
論考が載りました。 下記のとおりです。
なお学事出版はシニアの皆さんから原稿を求めていますので、応募されるのも一つの方法で
しょう。
退職後、ホームページを創るの記
杉田 荘治(旧公立・私立高等学校長)
わが国を正確に理解してほしい
教育問題について自分のホームページを持っているが、アクセス数は間もなく120万になる。
普通のカウントの仕方ではあるが、一度アクセスすれば220以上ある論考をいくつ読み亘っても
一つとしてカウントされて120万である。 実は十数年前、私立学校も退職してから間もなく、
あるアメリカ人から [ 日本人は情報を一方的に取るだけで、外に向けて自分たちの意見や情報
を発表しない ] と非難めいたことをいわれた。 それに義憤のようなものを覚え、また外国人にも
出来るだけ[わが国を正確に理解させたい]と考えて、インターネット上にホームページを開こうと
決心したのである。
そこで例えば、体罰についてのわが国の法令、教員解雇、日本人の宗教心、教員採用試験の
教育法規、わが国の職員会議や教員ストライキなど、和文とともに英文でも載せることとし、次ぎ
のような論考を載せた。 Rules on discipline and corporal punishment in Japan、Comparison
of teachers' dismissals in Japan、Japanese Religous Core Belief、.Examination
for service
of teachers' in Japan、Staff Meeting, Teachers Strikes などである。
アメリカの教育問題と日本との比較
その後、主としてアメリカ(U.S.A.)と比較しながら教育問題を検討することとし、例えば、教育判例、
統計からみた日米の教員給料、学校改善の事例、ゼロトレランス、SAT試験とわが国のセンター試
験などについて論述した。 体罰、停学、退学などの生徒懲戒問題、いじめ問題、教員採用試験・教
育法規のキィポイント、職員会議、教員の勤務評定とメリット・ペイ、教員免許更新制、チャータース
クール、アメリカの教育改革法、教員ストライキ、教員給与制度の違い、教育判例、マイノリティの優
遇策と逆差別、教育関係統計、学力テストなど教育に関する諸問題について、アメリカなどと比較し
ながら、根拠資料を重視して論述しているので修士論文などにもよく利用されているらしい。論旨は
わかりやすいとも聞いている。 http://www.aba.ne.jp/~sugita/
また面白く、読み下しでもいいものとして、例えばアメリカで得点の増えた生徒に市教委が現金を与
える事例、懲戒としての体罰の復活(ジョージァ州の一例)、テキサス州で全教員等から指紋//首都
ワシントンに教育オンブズマン、アメリカの中・高校に薬物が広まっている、「私は、いじめをしました」
のポスター/1億円の賠償、 アメリカで十代の若者にオーラルセックスの増加、アメリカの学校で始業
日を繰り上げる動き・学年度と祝日等、最近のカナダとアメリカの体罰事情、ワシントン州が新たにチァ
ーター・スクールを創る41番目の州となる、アメリカの軍の基地の学校、 公立学校教員に『連邦の所
得税を免除してほしい』との提言、ロサンゼルス教委は“麻薬を嗅ぐ犬”を導入、公立学校でも白人の
親たちから“逆差別”との訴え、アメリカの『貧困層の学校』には経験不足の教員が非常に多い、OB
の皆さんへ、ホームページ創設のお勧め、ポーツマス条約ー 追記・追憶のベル、ケベックの独立問
題なども載せている。 読み下しでいいのであるが、しかし常にその根拠資料を明らかにして、要領よ
くまとめたつもりである。
教育判例についても多彩で役立つ
教育判例についても多彩で役立つだろうと考えている。
例えばアメリカにおける連邦最高裁の実質的な体罰判例は『イングラハム対ライト』1977年判決が唯
一つのものであるが、これについて、わが国では誤解がある。すなわち、この判決は、5 : 4 の多数判決
であったが、これを『体罰賛成 5』、『体罰反対 4』と誤解している論説があったがそうではない。州法
や規則などで禁止していない場合、しかも一定の条件を守って行使される体罰について、これを違法と
しない点では少数説といえども同じなのである。
その他、学校における服装検査[アメリカの例]、-New Jersey v. T.L.O.事件、アメリカの無能教員の
解雇 (最近の判例)、“逆差別”との訴えを連邦地裁は却下、アメリカ国旗への忠誠の誓い』違憲問題
−“神のもとで”の文言は違憲か?、「大學入試で少数派学生への優遇策」についての連邦最高裁判決、
過剰な『適法手続き』は却って教育を損なう 付記: 最高裁『ゴス』判決、『表現の自由』、などについて
かなり詳しく記述してある。
事情により今はEメールを閉じる
この間、読者から多くの質問が寄せられた。なかには日本の教員免許の更新制度はどうなっているか、
アメリカでは体罰禁止は州によってどのように違うか、具体的な事例はどうか、また州によって法律が
違うため、その学校で解雇されても、また別の学校(州)で雇われることは可能か、世界各国の体罰禁
止の状況はなど、また弟(中学校教員)が体罰したといわれているが、その状況からいって間違ってい
ないと思うがどうか、という姉からの質問などもあった。それらについて出来るだけ誠実に、時には客観
的な資料も示しながら答えてきた。 しかしその数は非常に多くなり、なかには教育に全く関係のないこ
とや“迷惑メール”、政治問題なども増えてきたので、今はEメールを閉じている。
このようにして最近では、『アメリカのために教える』グループの活躍、オバマ次期大統領の教育政策
とダンカ次期教育長官の方法など、その動きを追いながら載せている。
齢すでに82の坂を越えた。昭和20年8月、終戦の玉音放送を士官候補生として浅間の山中・陸軍の
野営演習場で聞いた。齢未だ少しく若く戦場には行かず・(行けず)訓練を受けていた最中であった。 同
世代の人たちと同じように苦労しながら学校教育を終えて教職に就き、わが国の教育に貢献してきたと
思っている。幸い英語については、英語圏の教育者や留学生などとも、それなりに論議できるので、今
後とも彼らとも意見交換しながら、できるだけホームページを続けていこうと考えている。
ホームページ創設のお勧め
"晴耕雨読"は多くの人、ことにOBにとっては大いなる夢の一つであろう。
その一つとして自分のホームページを創ることをお勧めしたい。以下は私
がShoji Sugita home pageに載せている内容の一部ですが、それを紹介
して、その利点を述べましょう。
1 昨年9月の『同時多発テロ』前後の『アメリカの教員のストライキ』は、
一体どうなっているかと考えて、これを調べてホームページに載せました。
2. ところで彼らは『日本の教員のストライキ』はどうなっているのかと、知り
たいだろうと考えたので、これを纏めて英文で載せました。
3 教育白書には、日本の校内暴力、いじめ、中途退学などの統計は載っ
ているが、英文のものはない。 ましてや、『本務教員数』、『教員組合
員数』...などと聞かれても答えようがない。そこで、それらの統計をグラ
フや表で英文ででも載せました。
4. 最近『学校週5日制』が始まった。欧米では一般的なことであるが、彼ら
にとっては日本の最近の教育事情を説明するニュースになると考え、
併せてこの長所・短所を纏めてみることも意味があると思って、和文・
英文でそれらを載せました。
5. チャーター・スクールとはどんなもの? 彼らの多様な『学校選択』や『教
育改革』の流れのなかに現れてきたものですが、調べて纏め、これを
載せました。
6. わが国でも『教員の勤務評定』を改正することは避けられない昨今です。
ついては英米で参考になることことを調べて載せることにしました。
7. 体罰問題は難しい。 しかし"火中の栗"ではあるが、何とか客観的に
調べてコメントしてみることにしました。
8. 『靖国』の問題、『日本の侵略』の問題も難しい。"賢明な歴史学者"で
さえタブー視しているように思われます。しかし間接的に『ポーツマス
条約』や『日本人の宗教心』を述べることによって、それらの問題を歴
史的に多面的に見ることの重要性を訴えたいと思い、これらを載せま
した。
9. 何人かのOBや陸士60期の旧友にも呼びかけて寄稿してもらい、私の
ベージにコーナーをつくり、その寄稿文を載せました。特に後者の旧
友が喜んでくれたことを喜んでいます。
10. 最近『職員会議』も余り元気がないと聞く。悪用する連中もいるので、
やむを得ないとも思いますが、喧喧諤諤やりながら良い学校を創って
行く元気の源泉の一つは『職員会議』で、確かにわが国の長所といえ
ましょう。 その意味で職員会議関係のものも載せてあります。
その他、若干。私のページでご覧のとおり。
皆さんも、随想、所見、旅行記、カメラ撮影、絵画、俳句などなど、それ
こそ孫の成長振りも含めて多くの原稿をお持ちであろう。それらの『自分
史』としてのホームページを創られることをお勧めしたい。技術的なことは
何とかなりましょう。現に私も約6年前、今まで述べてきたような"志"のよ
うなことをパソコン関係の店頭で、少しく声高に話していたら、それでは
「手伝いましょう」という技術的な協力者が現れた。
従って今でも技術的にはモタモタしていますが、しかし最近、ホームペー
ジも簡単にできるソフトがあるようですし、"志"を持ち、その気になれば大
丈夫です。費用も自分史を自費出版するよりは、ずっと廉価でしょう。
但し、一人でやること(最大2人)。 [みんなで仲良くつくりましょう]では"評
定"が多くなり前へはなかなか進みません。
創業の苦しみ、守成の困難は多少ついてまわります。しかしそれらにも
増して、"自分史"を生み出し、そのページを増やしていく楽しさは、ずっと
大きい筈です。是非、“雨読”のなかに加えてください。
皆さんのご健勝を祈ります。
2002年 5月9日 記