杉田荘治
はじめに
ダラス市教委は体罰規程を改正して、今年度の初めから「親の同意書があれば生徒を校長が叩く
ことができる」と定めた。 これに対して既に3,274名の親がその同意書を学校へ提出している。
このことについて最近(2004年2月)、Dallas Morning News紙が報じているので、それを見てみよう。
T Dallas Morning News(2/2/2004)号から
3,300名の親が体罰同意の書面を提出
市教委は昨年8月、規程を改正して「親の同意書がなければパドルで生徒を叩くことはできな
い」とし、今年の初めから適用されたが、既に3,274名の親が同意書を提出し、またそれによっ
て既に147名の生徒に対して実施されている。
「パドルは校長の懲戒手段の一つです。 それは懲戒の最初の手段ではありませんが、その一つで
であることに変りはありません」と教育委員の一人であるRon Princeさんが語っている。 彼は昨年の
体罰規程の改正問題の審議のさいに終始、なんらかの形でパドルで叩くことの必要性を訴えていた
人である。
U 昨年(2003年)8月の改正点 2004年当初から実施
○ 親の同意書が必要である。 with parents' written permission
○ 校長のみが実施できる。 (改正前は教員も行使することができた)
○ スタッフのなかで公的な立会人が必要である。 another staff person
acts as an official
witness
○ 体罰は適切で威厳のある態度で実施すること。
○ 他の生徒の面前で実施してはならない。
○ 体罰は最後の手段である。
○ コミュニティでの奉仕活動、親がその生徒(子供)の授業を参観すること、家で子供の特権を制限
すること(註: これについては先に述べたことがあるが、おやつを与えないこと、テレビを見せ
ない、ゲームをさせないなど、子供の人権や成長を妨げないようなことを指している)。
V 賛成論と反対論
委員のなかでもZorneさんは依然として反対である。すなわち、「それは家庭の問題である」、「パドル
で叩いても矯正手段としての効果は長くは続かない」など。
Priceさんは「子供の非行によって学校の秩序が冒されることは許されない」、また体罰の代わりに停学
を選択することができるようにすること、またそれも出来るだけ「校外停学」よりは「校内停学」が適切
であるといっている。
参考1 ダラス市やテキサス州の体罰問題については下記も参照してください。 すなわち、
95. ダラス市教委(テキサス州)の体罰問題その後 2003. 8. 20記
このようにテキサス州では各地方教委によって体罰を生徒の懲戒に含めるか、含めないか取り扱いか
たが異なる。すなわち、
○ 体罰禁止の地方教委 ...Arlington, Coppell, Richardson など
○ 体罰容認の地方教委.....Dallas, Grand Prairie, Lewisville, Mesquiiteなど
○ 親の選択によって認められる地方教委..... Duncanvi, Rockwall
など
V ダラス市教委の審議 教育委員9名の意見は分かれている。
参考2 ダラス市Swinburn小学校 生徒ハンドブック 2003-2004年度
体罰 生徒に対する尻叩き、パドルで叩くことは、教委の政策手引き書にあるFO(LOCAL)
に沿って懲戒の手段として実施することができる。
そして、そのFO(LOCAL)は次ぎのように規定されている すなわち、
生徒の氏名、違反行為のタイプ、以前にどのような懲戒がなされたか、今回の懲戒のタイプ、
体罰を行使した者、立会人の氏名、日時 を記録すること。
Corporal Punisment- spanking or paddling the student- may
be used as a discipline management
technique in accordance with the Student Code of Conduct
and policy FO(LOCAL) in the
district's policy manual.
The District shall maintain a discipilinary record that containing
the student's name, the type
of misconduct, any previous disciplinary action, the type
of corporal punishment administered,
the name of the person adminitering the punishment, the name
of witnesses present, and the
date and time of punishment.
コメント
ご覧のとおりダラス市の最近の例であるが、親は案外、適当な体罰を容認しているように思われる。
また、それは停学よりはむしろ望ましい選択であるとするところからもきていよう。
2004. 2. 8記