謎式ガデス
〜 ガデスオリジナルストーリー・ストレンジミッション(1)〜

 「・・・いくら“あいしぃぴぃおお”の推薦があるとはいえ・・・“さいきっかあ”のような邪悪な存在に 協力を要請しようなどとは・・・」
 「兄者、これは大僧正様のお決めになられたことでございます。いたしかたございませぬ。」
 「わかっておるわい、玄真よ」

 日本の霊的治安を古来より歴史の陰から守護し続けてきた仏教系の宗教集団「影高野」。その所在は、高野山の地図にないある場所に存在していた。元々は京が「魔」の力に脅かされぬようにと時の帝が仏教界の有力者たちに働きかけて創立したと言われているが、・・・そこに至る詳しい過程を知る者は本当にわずかである。



 「・・・・」
 ガデスはICPOの手引きで日本に到着、・・・そのまま影高野の総本山へと向かった。

ザッ。

 「!」

 「怪しい奴・・・貴様、何者だ!」

 しばらく歩いたところで、ガデスは影高野の僧兵とおぼしき集団に取り囲まれた。

 「お前達は・・・影高野の者達か?」
 「いかにも。・・・それを知っているとは・・・事と次第によっては只では帰さんぞ!」
 「よせ。・・・俺はここの大僧正とやらに用事があって来ただけだ」
 「戯言をっ!」

 全く聞く耳を持たない僧兵達は、すでに臨戦態勢に入っていた。

 「・・・やむをえまい」


 「何事か?」
 「申し上げます。・・・たった今、一人の怪しい男が総本山への道中に出現したとのことでございます」
 「・・・怪しい男じゃと?」
 「なんでも・・・大僧正様に用事があって来た、と言っていたようなのですが・・・」
 「ぬう・・・」

 「いかがなされましたか、玄信」

 その時、巫女風の一人の清楚そうな美少女がたまたまそこを通りかかった。

 「おお、栞様」
 「栞様・・・申し上げます。たった今・・・何者かがここ影高野総本山への道中に出現したと・・・」
 「!」
 「・・・で、どうしておるのじゃ?」
 「今、見張りの者達が撃退に向かっております」
 「・・・玄信」
 「は」
 「・・・ひょっとして・・・西条どのが申しておられた“さいきっかあ”の傭兵の御方がこちらに来られたのではございませぬか・・・?」
 「!」
 「・・・しかし・・・」
 「よろしい。とりあえず儂が行ってみることとしよう」


 「!!」

 玄信が現場に駆けつけてみると・・・僧兵達が全員地に倒れ伏していた。
 そのおよそ真ん中あたりで悠然と佇む男。

 「・・・・」

 「曲者め、何者じゃ!」

 独鈷且を構える玄信。

 「・・・心配するな。ただ気を失っているだけだ」
 「何じゃと?」

 「う、うう・・・」

 よく見ると、全員うめき声を上げながらわずかに動いている。・・・見たところ、瀕死の重傷という様子ではない。

 「・・・まさか・・・これをそなたが?」
 「・・・・」
 「ぬう・・・」
 「近代武器を身に付けさせなくて正解だったな。おかげで依頼主の裏切りでないことだけはすぐに理解できた」
 「依頼主・・・じゃと?」
 「・・・・」
 「では・・・そなたが・・・」

 ガデスは無言で一枚の書類を玄信に手渡した。

 「これは・・・」
 玄信は書類に目を通すと、ガデスの方を見やった。

 「・・・・」
 「これは失礼つかまつった。・・・さ、総本山はこちらですじゃ」

 玄信は礼を改めると、ガデスを総本山へと案内した。



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