The Charter School of Willington の会長 Ron Russoさんからの回答
【要旨】
チャーター スクールは教育における新しい概念ですから、正しく運用されれば、教育の進歩
について意義深いものになりましょう。 そのさい、主なる原則は二つ あります。
@ 自治、すなわち独自のやり方を しっかり自主的にやることです。
用地や建物を しっかり整え、それを運用していく人物を養成していくことが大切です。
A 市場原理の責任を果たすことです。
すなわち、親たちがスクールの教育に満足するような教育をすることです。 もし そうでな
ければ 他の学校に転校するようになり、州から十分な資金を得ることが困難になりましょう。
これは一般の事業と同じことです。企業が十分な顧客や依頼人を失えば存続することはでき
ません。 教育の世界でも次第によっては、莫大なドルを得ることができます。
【スクールの概要】
○ 1996年開校の数学、理科、大学入試に重点を置くチャーター スクールであり、民間の6社
によって支援され、また統治もされている。
○ 生徒数 800, 9年生から 12年生徒まで。 6教育区からの生徒と 33%はカソリック系の学校か
ら転入してきている。 大学 進学率は 100%
○ 1クラスの生徒数は 24名 New Castle郡をカバーする通学バス 有り。
○ 実績
・ 2000年度 Delaware州 理科オリンピック ............. 66高校のなかで 第 1位
・ 同じく 数学オリンピック.............. 第 1 位
・ 2000年度 Delaware 大学 理科・数学・技術シンポジューム ........... 優勝
・ 2000年度 Delaware州 数学 リーグ ............... 9年生、10年生ともに 第 1位
その他 約 20の コンクールで最優秀の成績
○ その他の実績 ........ 親の会合への参加率の高さ、 すばらしい生徒のマナー、 制服あり、
すべてのクラスにインターネットに接続したコンピーターの設置
○ スポーツ クラブ....... 生徒会、新聞、コンピーター、数学リーグ、エンジニア リーグ、ジァヅ、
ホッケー、マーチ バンド、レスリング、少女サッカー など45クラブ
【コメント】W Florida州の例
ご覧のとおりの [エリート校]である。 民間 6社で運営されているとはいえ公的資金も得てい
る公立学校である。スタッフの人材養成も重視している 成功例の一つであろう。
1 Terrace Community Schoolの設立者 Nancy Kirkさんからの回答
【要旨】
Florida州は全米の標準テストでは、最低に近い状態ですし、またアメリカの公立学校の教育
は国際的な比較では良くありません。 そこで、私たちは中学校で国際的な標準を何時も念頭
に置きながら、新しい学校を創ることにしました。 その結果、生徒の成績は劇的に向上しました。
日本の生徒は高い学習意欲があると聞いていますが、チャーター スクールは彼らに良い機会を
与えるものとなることができましょう。
【スクールの概要】
○ 1998年 開校、5年生から 8年生まで。 生徒数 160名、 一クラス 20名、 一学年 2クラス
Hillsborough市 在住の生徒は誰でも入学することができる。
○ 校舎の床面積 11.000スクエー 8教室、コンピーター室、芸術室、
体育はTemple Terrace リクリエーション センターを利用する。
○ 2000年度には科学・産業博物館と協定を結び、借用やスタッフの派遣などを決めた。
体育クラブについては現在、調査中。
○ 一クラス 20名の定員を維持しながら、どの学年でも 一クラス 増を計画中。 実現すれば、全
校生徒数は240になる。
○ このスクールは基礎的学力の向上と学ぶ力を付けさせることに重点を置いている。
また、生徒に自尊心と自信をもたせることを主眼にしている。
市民によって創られた公立学校で、カリキュラムやプログラムを弾力性のあるものにしている。
○ 指導例 家庭学習の助けとして数学、社会、語学などについて、Altavista, Excite, Yahoo
など インターネット上で検索てきる学者や技術者を一覧にして紹介している。 また、親たちに
参考になるリンク集などの資料を配布している。
【コメント】
客観的な評価は、劇的に向上したとされているが詳細は わからない。 しかし基礎学力の向上
に貢献しているチャーター スクールであろう。
2 Penbroke Pines Charter Middle Schoolの前校長 Vadrey Gretchenさんからの回答
【要旨】
このスクールは Haskell Companyが計画し、財源も図って創めた学校です。
あなたは既に、Washington D.C.の『教育改革』を読んでおられますが、それはチャーター ス
クールを理解するのに有益な資料です。
○ チャーター スクールを創めるときは、生徒の年齢や学年をどうするか、利用できる施設はある
か、どういう点を改革しようとするのか、財政的な支援はあるか、しかも もう既にそれは具体化
しているか、申込用の文書はできているか、などがポイントになりましょう。
【スクールの概要】
回答のように Haskell Companyという会社が創めたスクールで、この中学校の他に、東 小学
校と西 小学校も経営されている。 しかし、その詳細はわからない。
【コメント】X Oregon州の例
回答の内容は、スクールを創めるさいの重要なポイントになろう。
Oregon州『教育改革センター』所長の Richard Meinhardさんからのアドバイス
【要旨】
私はチャーター スクール関係の会議をつくったり、そのハンドブックを作成したり、また Oregon
州議会に各スクールが認可の申請をするさいのモデル草案づくりの手助けをしています。
○ 私が関係した一つのスクールは、既存の学校で落第したり、問題を起こしたりした生徒たち
のものでしたが、教委は、どのようにしたらよいのか良い展望を持っていませんでした。
そこで調査した資料により、ビジネス原理を取り入れ、キイポイントとなる目標と標準を明確に
定めるようにアドバイスしました。 その結果、そのスクール委員会と校長などの役割分担や
責任の所在が はっきりしました。
○ またあるスクールでは、より良い目標をつくること、その客観的な到達度を計る手段を どうす
るかについて、相当、時間をかけて検討しました。 この客観的な評価システムは難しい問題で、
今なお研究中です。
○ 将来、私たちは [教授と学習] について検討していくつもりです。 “現職教育モデル”ともい
えましょう。そのうちの一つは “Teaching Gag”という本ですが、これは日本を含む世界中か
らの調査資料を活かして革新的なものにしたいと考えています。
【コメント】Y 追加
確かに客観性のある目標の達成度を計る基準や方法は難しい問題であろう。特に県や国全般
の共通テストがないわが国にあっては大きい課題であるように思われる。
1. Detroit市教委の Linda Leddickさんからのアドバイス
【要旨】
要は親の熱意です。親が既存の学校ではなく、このチャーター スクールで [自分の子供を しっ
かり教育してもらいたい]との意欲を持つことが最も大切なことで、それがスクールの成功にもなり
ます。
2 Georgia州教育局 チャーター スクール担当のBevery Schrengerさんからの回答
【要旨】
○ Georgia州には 41のチャーター スクールがあります。(2001. 1.2 現在)
○ まず請願者は地方郡教委の認可を受け、その後、州教委の認可を受けなければなりません。
○ 州によっては、大学の承認を必要とするもの、いきなり州教委に請願するもの、またその認可
権限のある特別な委員会へ申請するものなど様々です。
なお、USA教育省のcharter school web サイトを見て総合的な理解をしてください。
3 Georgia州 Cantersville 小学校長の Jim Allenさんからの回答
【要旨】
○ チャーター スクールには三本の柱があります。すなわち、学校の自治、親の参加、学習成績
の向上 です。
○ 創設にさいしては、人事と学校財政を除いて、地方教委のレベルで行います。
○ 親は、どの委員会でも平等の投票権を持っています。
○わが校は、数学とリーディングで向上を続けています。
【コメント】
学校の実状はわからない。しかし、回答のポイントは参考になろう。
4 Texas州 Rushton Hurleyさんからの回答
【要旨】
親切にも、Texas州の Patsy O'Neilさんから彼に転送されたのであろう。そのHurleyさんからの
回答。
私は今、California州のSan Jose の Creek高校で日本語を教えています。 そこでは、この8
年間で、200名以上の生徒が日本語を学び、何人かは日本語能力検定試験のレベル 3にパス
しています。今後、私は、Texas の San Antonioに移ってチャーター スクールにとりかかり、
2003年秋までには開校したいと考えています。国際交流と技術的な手法を特徴とするスクール
にしたいと思います。
【コメント】 このような意欲的な人からの意見も聞くことができた。
5 Minesota州 Charter Friends National Networkの Project Director : Jon Shroederさん
からの回答
【要旨】 2001年 2月中旬、自宅に郵送されてきた。
『雇用主と提携したチャーター スクール』
○ アメリカは、ここ 20年の間に技術・技能を低下させているが、再び競争社会で活力をとり
戻すためには、新しい教育が必要である。 すなわち、既存の技術のみに頼っていてはいけ
ない。“学びつづけること”と現代に合ったカリキュラムが必要になっている。従って、企業は
中等教育とその後の教育とパートナー シップをとり始めている。これらの改革は、技術に学問
的な厳格さを加味することによって強くなののである。
○ 教育改革者と雇用主との連携憲章
・ 教えることと学ぶこととは一致すべきである。
・ 働くことの経験を学びの本にすべきである。
・ 新しい選択を可能にすべきである。 そのモデルの一つがチャーター スクールであるが、
そこでは教員は自己選択し、他を改革・変化させ、他の自己選択者とともに働く。
○ チャーター スクールはプロセスより、結果に重点を置く。 そのためには、
・ 設立者のビジョンが大切である。芸術や映画で伸ばす、Hispanic や African American生徒
を伸ばすなど。
・ 学校以外の領域で広く学ぶ。
・ 職場に合致した教育
○ スタッフについても弾力性のある[Plastic 製造技術アカデミー]の成功例や、博物館の中に
設置されたHenry Ford Academy の成功例を参考にすべきである。
コメント 以上のように多数の方から回答などを頂いたことを感謝している。アメリカの懐の深さ
を感じる。
2001年1月下旬記 無断転載禁止