223. オバマ次期大統領の娘たちは有名な私立学校へ


杉田荘治


 Sidwell Friends School.
 はじめに

 オバマ次期大統領の二人の娘たちは、やはり首都ワシントンの
 有名な私立学校:Sidwell Friends School に入学(転入学)する
 ことになった。このことについて、New York Timesなど巻末に
 記載したメディアが報じているので、その学園に関する資料など
 を付記しながら、この話題を述べておこう。 【左写真: Wikipeddia,
 から】

                     入学先の決定まで

    次期大統領に選出されてから、オバマ夫妻(Barack Obama and Michelle)は、10才のMalia
   と7才のSashaの2人の娘のワシントン市における転校先を検討していた。夫人のMichelleが
   どの学校を視察するかなどを巡ってカメラマンたちが張り込みを続けるし、また多くの市民や国
   民の居間の話題にもなっていた。  Fenty市長は熱心に公立学校も考慮に入れるようにと
   めたいたが、オバマ家族が事前に公立学校を訪れることはなかった。  そして私立学校につ
   いては3校、検討されたようであるが、結局この11月20日に標記のようにSidwell Friends
   Schoolというクェ-カー教徒設立・運営の学校に決めたとNew York Timesが翌日の21日に発
   表した。

    選んだ理由
   ○ その学校が娘たちにとって安全であること。
  ○ 子供のプライバシィが保たれること。
   ○ 娘たちと仲がよい次期副大統領の孫たちが在学していること。 その他過去、3人の大統
     領の子供たちも通っていたこともあろう。 クリントン大統領の場合もそうであったが、娘の
     身の安全とともに「公立学校へ通えば、報道機関に絶えず追い掛けられることになる」とい
     われたことも理由の一つであろう。

    10才のMaliaは5年生でNorthwest Washingtonにある高校と同じ校舎の中等学校に行くこと
   になり、7才のSashaは2年生でBethesdaにある小学校(lower school)へ通うことになる。
   両者は数マイル離れている。
 なお彼女らは現在、私立シカゴ大學付属小学校に通っている。

    なお今、首都ワシントンの教育改革に熱心に取り組み、長い間の懸案問題である教員給料
   について教員組合と戦っているMichelle Rhee教育委員長は彼女の子供たちを公立学校へ
   通わせている。 【註: Rhee委員長の教育改革については既に第221編のなかで述べてある
   ので参照してください。】


               Sidwell Friends School とは

   ○ 前述のように1883年にクェーカー教徒によって設立された私立学校で、このワシントンの
     他にメリーランド州にもある。 ワシントン校は幼稚園から12年生まで。 生徒数は1,000名
     〜1,100名
   ○ 授業料  小学校 年額 28,442ドル     中等学校 29,442ドル

   ○ 男女共学でスポーツ活動も盛んであるが、とくにAPテストの成績は全米のトップクラス
     ある。 例えば2005年には中規模校(10年生〜12年生の生徒数が300-799名)のなかて
     英語では全米でトップの成績であった。 しかもこの学校は特別にAPコースを設けている
     わけではない。 このように卒業時までに英語は最低19単位が必須である。
   ○ その他、数学は3年間、歴史も3年間、英語以外の言語、理科は2年間、芸術は1年間、履
     修させ、新入生コースや中国語・中国史にも力をいれている。


   ○ 今まで3人の大統領、すなわちTheodore Roosevelt, Richard Nixon, Bill Clintonの子供
     たちもここで学んだ。

   【註 APテストについては第198編を見てくたさい。 その一部を下記しておこう。】
     AP, Advanced Placement Program、上級コーステストのことであるが、アメリカとカナダ
     などで実施され世界41ヶ国で利用されている。 これにパスすれば大學における単位など
     の特典がえられるのである。 科目は37科目、もっとも多少変動する。 1955年から非営
     利団体の大學委員会によって実施され、今や全米で1万2000校以上の公立中等学校で
     このコースの幾つかが設けられ、これを履修する生徒は270万人に達している。 もちろん
     このコースを設けていない学校や私立学校の生徒やホームスクーラーも受験することがで
     きるようになっている。 また前編でも記したようにオバマ新政権は高校のAPコースや大学
     レベルのコースを設けることを促進し、その奨励金を与える学校を2016年までには全米で50%

     以上とするとしていることも付記しておこう。

  【参照資料: The New York Times, 2008年11月21日号、 Washington Post, 2008年11月
          20日号、 Wikipedia, the free encyclopedia】

おわりに
    
オバマ次期大統領夫妻は、あるいは娘たちを公立学校へ通わせるのではないかと一部
   期待されていたが、やはり選ばれなかった。アメリカ都市部の公立学校の現状を垣間見る
   思いがする。 このような場合、わが国では果たしてどうであろうか。
  

 2008年12月8日記             無断転載禁止