195. 『体罰問題』の見直し


杉田荘治


はじめに
    昨日、平成19年(2007年)1月19日、教育再生会議は第一次報告書案を発表された
   が、その一つに『体罰について見直す』ことが含まれています。 結構なことです。 
   とろでこのことについては既に第24編と第25編などで論考しているが、今あらためて、
   これらを要約して参考に供することにします。


Thttp://www.aba.ne.jp/~sugita/24j.htm 24. 体罰問題...その一 から

   NHKは今春(2000年), 1月 8日と9日、衛星放送BS-1で、『地球法廷 ・教育を問う』として
  放送された。 第一日目『自由か規制か』では、
杉田の意見、とくに「合理的な力の行使」に
  ついて取り上げられた。

     .一定の条件のもとでの体罰はハンドルの“ 遊び ”に相当する懲戒の一種である ...   
  1. 学校教育法では、校長・教員は、教育上必要があると認めたときには生徒(児童、学生
   を含む)に懲戒を加えることができる、しかし、体罰を加えることはできないと規定している。 
   その際、考えなければならないことは、その合法の懲戒と違法の体罰との区別は線によっ
   て画されるのではなく、自動車のハンドルの“ 遊び ”のような、ある幅と弾力性とによっ
   て画されるということである。
 
    生徒の懲戒も、考えてみれば常識的なことであり、またそれが最も重要なことである。
   具体的なことについては別項・体罰的懲戒制限条項でも触れるが、生徒の年齢、性別、
   身体的な強さ、その時の身体的、精神的な状態その他の事情を要件に、
各学校で親な
   どの理解や協力を得て検討されれば、自ずから、その程度が決めら
れよう。
 
  2. 親がわり論
     次に考慮すべきことは、教職員は学校においては、生徒の“ 親がわり ”ということで
   ある。 しかし、親と教職員とでは、懲戒規定は同じではない。 親には体罰について学校
   教育法第 11条のような禁止規定はない。 それは親と子という血[ 養子などの場合を含
   む ]からくる自然的抑制原理が働くことを、法は予想しているのであって、敢えて法で規
   制する必要がないからてある。
    しかし、教職員には、そのような血からくる抑制原理を期待することはできない。従って
   時には法によって、あるいは規則や通達、ガイドラインなどによって合理的に
規制するこ
   とが必要となってくる。そして、この制限事項を厳しくすれば、前述のよう
にハンドルの“ 遊
   び ”部分をなくしてしもうことになるし、また緩くすればダラダラに
なって危険であるから、
   生徒の年齢、性別、強弱、身体や精神の状態その他の条
件を考慮して適切なものとされ
   ることが必要である。
 
  3. 提言 一
   体罰的懲戒制限条項の一例 (試案)
  前述のように第24編によってください
 
  4. わが国の参考資料と私観
    初中局教務関係研究会編著『 教務関係執務ハンドブック 』 について   同上
  5. 参考資料... 体罰制限条項と親がわり
    1 全米PTAの体罰コントロール見解
    2.アメリカの体罰制限条項           などを述べてあります。

U http://www.aba.ne.jp/~sugita/25j.htm 25. 体罰問題そのニ 「理由のある力の行使」は体罰ではない 

  ー 騒ぎをしずめたり、暴力行為を排除するなどのために、学校の教職員が、力を行使する
    ことは、体罰ではない ー

  1. わが国では、学校教育法で禁じられている体罰と生徒の暴力行為を排除したり、騒ぎを
   静めてクラスの秩序を回復・維持したりするなど、合理的な理由
のある場合、教職員が[力
   を行使]する正当な行為とを混同して、その行為
を違法視するきらいがあるが、そうではない。
 
  2. アメリカでは全ての州に共通していることは、[理由のある力の行使]については、すべて
    の州法・地方教委規則で、これを正当化していることである。
   その共通したタイプ は次の例の通りである。
    Pennsylvania 州教委規則 12.5
    次の場合は、たとえ親やある教委が体罰に反対していても、力を行
使することができる。
     @ 騒ぎを静める場合
     A 武器ゃ危険な物を持っている場合
     B 自己防衛の場合
     C 他人や器物を護る場合
   ちなみに、原文は次の通りである。 第25編によってください。

  3. 提言 二   
    [理由のある力の行使]ガイドライン( 試案 )
     今後、わが国にあっても、[理由のある力の行使]が正当な行為であること
確認し、文
    部省・各都道府 県教委が、そのガイドラインを定め、これを受け
て各地方教委が地域の
    実状その他を考慮して規則を定め、さらに各学校が小・中・高校などの学校種別、生徒の
    実状その他を考え、親や保護者などの理解を含めて規則を制定されることを望みたい。 


  4. 
提言 三  ...... 校内謹慎 [校内停学
    アメリカにおいては、小学生・中学生に対しても、その違反行為によっては停学やオール
   タナティブ・スクールに送られることも一般的であるが、わが国に
おいては、校内謹慎 [校
   内停学 ]・In-School Suspension の制度を確立されることを望みたい。

   以上のように
[よく話してきかせれば、聞き分けてくれる]という子育てや教育の方法は、
  が国の伝統であり長所である。 悪意ある、恣意的、残酷、過剰な体罰や
[力の行使]につい
  ては、それ相当に対処されるとともに、私観ガイドラインの
ように、もう少し、どのような方法、
  どの程度の懲戒かなどについて具体的に
ガイドラインを示すなどして、教職員に自信をもたせ
  るように施策される
ことを期待したい。         以下略
  第25編によってください。

その他
   なお
http://www.aba.ne.jp/~sugita/26j.htm には26. 体罰問題 その三...
   アメリカの州規則・教委規則【原典】を述べました。

 2007年1月20日記         無断転載禁止