杉田荘治
はじめに
最近(2003年12月)、ロンドンにあるTimes Education Supplementが、その12/3号でスコットランドの
公立学校生徒の欠席率などを報じている。そこて゜先ず、その記事から数字を拾ってそれを述べ、そ
の後、その原資料である教育省のデーターで補足しておこう。
T 概要
スコットランドの公立学校の小学校、中等学校では平均1日に52,000名の生徒が欠席している。
そのうちの十分のT、数では5,600名の生徒は無断欠席である。 もっとも昨年度(2002年)は
5,800名であったので、200名減っている。
小学校では、欠席率は5.1% そのうち無断欠席は0.36% いずれも昨年比では少し上がっ
ている。 日数からみると1年で9.5日の欠席となる。
中等学校では、欠席率は10.75% そのうち無断欠席は1.43% 昨年は11.8%であったので少し
改善されたし1990年代の中頃以来では最低の欠席率である。
日数から見ると1年
で20.5日
【註】大多数の公立学校の授業日は年間190日である。 また教委によっては例えば水曜日の午後を
教員研修に充てて休校とすることがあるので、平均9.5日の欠席となる例があることになる。
なお、無断欠席の内訳は、ずる休み、停学、家族が自分達の休暇に子供を連れ出すことなどである。
従って教委は規則を改正して[家族の休暇に子供を連れ出す]ことを厳しくした。
地域的に見ると、Glasgow市の欠席率が最も高く、East Renfrewshire地方が最も低い。
U スコットランド教育省のデーターから補足
スコットランド教育省統計: National Statistics発表(2002. 12. 6)分であるが述べておこう。
1. 小学校 全体での欠席率 5.1% (その内、無断欠席は0.4%) これはここ数年では
最低の率 日数では9.5日 (その内、無断欠席は1.5日)
2. 中等学校 全体での欠席率 11.1% (その内、無断欠席は1.5%) これは依然として高
い。 日数では20日 (その内、無断欠席は1.5日)
3. 地域的 Glasgow市の欠席率が小学校(7.3%)、 中等学校(15.4%)
と最も高い。
Orkney Islands が小学校(3.7%)、 中等学校(5.7%) と最も低い。
V 無断欠席とは: Unauthorized absences 上記教育省資料から
○ 校内停学または停学
○ ずる休み ずる休みとは、意図的に又は無意識に生徒や親の側にあって行なわれるもので、
その程度によって教委に報告されるもの、長官に報告されるものがある。
○ 家族休暇で出席とは認められないような子供の連れだし。
なお次ぎは認められる欠席:Authorized absencesである。
○病気 ○医療、歯の治療 ○肉親の死別 ○家庭で起きた非常に困難な出来事
○交通手段がない場合 ○研究休暇 ○宗教上の儀式・慣習 ○出席と認められる
家族休暇 ○裁判所での事前打ち合わせとその会合 ○児童保護審理
○身近の家族の結婚式 ○公認された討論会、スポーツ、音楽、演劇関係
○公認された海外にいる親戚を訪問する場合 ○承認された家族海外旅行で期間を延長す
る場合
W 参考 Perth高校の出席についての規程 同校のホームページから
出席と時間励行
○ 規則正しく時間どおりに授業のでることが最も重要です。
○ 欠席した場合は、その後、出席したら直ちに、欠席の期間、その理由、また親のサインをもらった書類
を担任に提出しなければなりません。 その書類は学年主任に届けられます。
○ 歯科医師、医師、検眼士に行く場合は適当な時間は認められます。 その場合でも生徒の安全は親
の責任です。
○ 3日以上の欠席の場合は親は学校へ電話を掛けなければなりません。 しかし、ずる休みとわかる時
は欠席の第1日目でも親は学校へ連絡しなければなりません。 またガイダンス教員がそれとわかる
ような場合は直ちに親と連絡をとります。
○ 満足に説明できないような欠席が続けば、『ずる休み』記録簿に記載され、その後パースとキンロス
議会の出席委員会に記録が送られることもあります。また極端な場合は親が子供を出席させなかった
として訴追されることになります。
われわれの目的は病気を防ぎ、生徒(子供)が100%学校へ出席することにあります。
コメント
各学校や教委などで欠席率、無断欠席またその定義などを比較されると良いでしょう。そのような
国際比較による国際理解も必要であろう。
2003. 12. 14記