付記 栄典制度の改正
杉田荘治
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杉田は、平成9年、春の叙勲で、勲四等旭日小綬章を受章した。名誉なことである。
以下、それに関連する栄典法規・統計などを要約しながら、わが国の勲章について述べよう。
- 明治8年(1875年)4月、旭日章が定められ、その後、瑞宝章、宝冠章など現在の勲章が、明治29年
- までに整備された。
- 昭和12年には、文化勲章令が定められた。
- 終戦による制度の改廃によって、生存者に対する叙勲・叙位は一時、停止されていたが、昭和38
- 年に再開され、翌年4月29日の天皇誕生日に、その第一回が行われた。
- 生存者に対する叙勲は、「春の叙勲」、「秋の叙勲」と改められ、4月29日と11月3日に発令される。
- 原則として70才以上の者。その数は、春、秋ともに、それぞれ約4500名。人口の増加にもかかわ
- らず、発令数はほとんど変わっていない。
- これとは別に、死亡叙勲と88才以上の者を対象にした高齢者叙勲〔平成七年:約1100名〕とがある。
- 緊急叙勲、外国人叙勲についても別途、定められている。
- 勲章の種類
- 菊花章・・・・・・・大勲位菊花章頚飾と大勲位菊花大綬章
- 旭日章・・・・・・・勲一等から勲八等まで最初に制定された勲章。男子、女子に授与される。
- 桐の花がついている。
- 宝冠章・・・・・・・女子にのみ、授与される。勲一等から勲八等まで
- 瑞宝章・・・・・・・勲一等から勲八等まで。今は女子にも授与される。
- 文化勲章・・・・・・文化の発達に卓絶な功績のあった者。毎回5名程度11月3日
- 勲章の他
- 賜杯・・・・・・・・叙勲にかえて銀杯、または木杯が授与される。高位の僧侶、オリンピック優勝
- 者など。
- 褒賞・・・・・・・・顕著な一つの功績に着目して、これを称えるもの。
- ・ 緑綬褒章・・・・ボランティア活動などで顕著な実績のある者
- ・ 黄綬褒章・・・・コツコツと業務に精励し、衆知の模範である者
- ・ 紫綬褒章・・・・学術、芸術、スポ-ツなどで顕著な者
- ・ 藍綬褒章・・・・衛生、慈善、防疫、建設、森林、水産、商工業などで顕著な功績者
- *寮母、宮大工、水先業務、保護司、消防団員、運転業務員など
- 以上の褒賞は、「春の叙勲」「秋の叙勲」とともに、同日、発令される。年間、約1700名
- その他、紅綬褒章(人命救助など)、緑綬褒章(孝子、節婦など)、紺綬褒章(私財の寄付
- など)があるが、その数は少ない。但し、紺綬褒賞は、年間約600名
- 平成九年「春の叙勲」
- 恒例の生存者叙勲、「春の叙勲」は、1997年4月29日に発令・発表された。その数およそ4500余。
- 大勲位菊花大綬章・・・中曽根元首相
- 勲一等旭日大綬章・・6名 元総務長官、元衆議院副議長、元民社党委員長、元外相など
- 勲一等瑞宝章・・・・9名 元日経新聞社長、元高裁長官、商工会議所会頭、元事務次官、
- 元国務大臣など
- 勲二等旭日重光章・・・16名 名誉教授、元衆議院議員、元大使、元高裁長官、元汽船社長、
- 元大学長など
- 勲二等瑞宝章・・・約60名元検事正、元高裁判事、元市長、名誉教授、元衆議院議員、
- 元統幕議長、元大使など
- 勲三等旭日中綬章・約150名名誉教授、元陸自方面総監、元市長、元病院長、元社長、
- 元運輸省局長、元判事、元衆議院議員など
- 勲三等宝冠章・・・・・1名元主婦連会長
- 勲三等瑞宝章・・・約215名名誉教授、元日弁連副会長、元師団長、元矯正管区長、元映
- 画監督、元市議、元判事、元市長、元会社会長、元県議、元主席書記官、
- 元病院長など
- 勲四等以下については、次に愛知県の例を述べるが、全国的に見てもその傾向は、ほぼ
- 同じ、と推定される。また前述した叙勲と同時に、在外邦人や外国人に対する叙勲が
- 行われた。元スイス大使、メキシコ、元日墨協会長、日本人会長、ガリ元国連事務総
- 長、元駐日大使、日系人商議所会頭など。その総数は在外邦人については12名、
- 外国人にあっては34名であった。
[註]平成五年「春の叙勲」の場合受章者 4514名
内 訳
- 大勲位なし 勲一等旭日章・・・5名 勲二等旭日重光章・27名
- 勲三等旭日中綬章・137名 勲四等旭日小綬章・248名
- 勲五等双光旭日章・615名 勲六等単光旭日章・337名
- 勲七等青色桐葉章・299名
- 勲三等宝冠章・2名 勲四等宝冠章・4名 勲五等宝冠章・10名
- 勲六等宝冠章・75名 勲七等宝冠章・29名
- 勲一等瑞宝章・・・8名 勲二等瑞宝章・・・76名
- 勲三等瑞宝章・・205名 勲四等瑞宝章・・575名
- 勲五等瑞宝章・・968名 勲六等瑞宝章・・714名
- 勲七等瑞宝章・・181名
[参照資料]賞勲局ホームページ、章典の栞、叙勲・褒賞者名簿
- 平成九年「春の叙勲」、勲四等以下、愛知県関係受章者 134名
- 内 訳
- 勲四等旭日小授章・・・2名元公立高校長、元県局長
- 勲四等宝冠章・・・・・なし
- 勲四等瑞宝章・・・・・23名元県参事、元公立高校長、元私立高校長、
- 元郵便集中局長、元市議、卸し売り協会会長など
- 勲五等双光旭日章・・・15ニ名元公立中学校長、元市議、元消防正監、
- 元県副出納長、元県バレー協会副会長、学校歯科医、X線技師長など
- 勲五等宝冠章・・・・・なし
- 勲五等瑞宝章・・・・・36名元公立中学校長、元公立小学校長、元警視正、
- 元市議、教戒師、保護司、元特定郵便局長、元柔道整復師会長、
- 元小売商業組合会長など
- 勲六等単光旭日章・・・15名元幹事駅長、元警視正、元警部、元消防司令、
- 元消防団長、元教護院課長、元傷い軍人会副会長、元協同組合副会長など
- 勲六等宝冠章・・・・・2名元看護総婦長、元郵政技官
- 勲六等瑞宝章・・・・・23名元三等陸尉、元警部補、寮母、元事務官、元消防司令、
- 元土木管理区長、洋服店代表、造園代表など
- 勲七等青色桐葉章・・・14名元警部補、水位観測員、ガス製造課員、とび職、
- 消防分団長、元裁判所技官など
- 勲七等宝冠章・・・・・1名元保母
- 勲七等瑞宝章・・・・・3名元県技術吏員、副看守長
- 勲章の伝達式
- 大勲位と勲一等宮中において、天皇陛下が親授される。
- 勲二等宮中において、内閣総理大臣が伝達する。
- 勲三等以下各省大臣が伝達する。
勲四等旭日小綬章
平成九年(1997)5月9日、午後 1時頃、国立劇場において文部大臣から伝達され、その後、
- 勲章を佩用して皇居に入り、午後3時30分、宮中・春秋の間で天皇陛下に拝謁、お言葉をい
- ただいた。その後、記念撮影。菊のご紋の入ったお菓子と皇室アルバムを頂いて退出した。
- 実は、約10年半前の昭和61年11月に文部大臣教育功労賞を受賞したが、その際、同じく、
- 昭和天皇から慰労のお言葉をいただいたことがある。この二度の感激に、今は亡き両親、
- 祖父母、小学校時代の田口、羽根両先生、先輩、同僚、後輩その他、多くの方々に感謝し
- ている。なお、拝謁は配偶者同伴、但し付き添え人は拝謁できない。またご下賜品は、数
- 年前から煙草にかえて前述のように、皇室アルバムになった。
- 叙勲基準(関係部分・要約)
- 以下の各号に該当するもののうち
- 国家・公共にたいして、功労のある者・・・・・勲六等瑞宝章以上の勲章
- いちじるしい功労のある者・・・・・勲四等瑞宝章以上の勲章
- 特にいちじるしい功労のある者・・・・・勲二等瑞宝章以上の勲章
- 各号
- 学術、芸術などの分野・新聞その他報道の業務・学校教育または社会教育
- 社会福祉または納税に尽力・発明発見など・治山治水、砂防、土地改良など
- 地方鉄道、軌道、海上運送、道路運送、航空運送、電気事業、ガス事業などの分野
- 医師、薬剤師・弁護士、弁理士、公認会計士・調停委員、人権擁護委員、民生委員等
- 経済、産業の興隆または公益に寄与した者・労働界・体育界
- その他
- また次ぎの者には、相当の勲章を授与する。
- 非常災害に危険をおかして、防止、救援、復旧につとめ功労のあった者
- 公共のため職に殉じた者
- その他これに準ずる者
- その他
- 一部、誤解しているむきがあるが、叙勲には一切、年金などの金銭は付加されない。
- 註:日本国憲法14条「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない」
文化勲章だけは、文化功労者として終身年金が贈られるのである。
- 日本の勲章の芸術的価値は、世界のトップクラスである。その輝きは七宝焼きと熟練
- した技術による。綬のリボン地を含めて、わが国、工芸技術の粋といってよかろう。
......
平成 九年度 春の叙勲・勲四等旭日小授章・宝冠章受章者と配偶者 [皇居宮殿前広場]
付記 栄典制度の改正
T 勲章について
@ 旭日章......旭日大綬章、 旭日重光章、 旭日中綬章、 旭日小綬章、 旭日双光章、
旭日単光章
A 瑞宝章......瑞宝大綬章、 瑞宝重光章、 瑞宝中綬章、 瑞宝小綬章、 瑞宝双光章、
瑞宝単光章
なお、旭日章と瑞宝章は男子、女子ともにに授与される。 旭日章は特に顕著な功績のある
者に対して。 また、宝冠章は存続される。 宝冠大綬章、宝冠牡丹章、宝冠白蝶章、宝冠藤花章、
宝冠杏葉章、宝冠波光章
U 春秋叙勲とは別に、警察官、自衛官など著しく危険な業務に精励した者に対して新たに叙勲
される。年齢も、原則70歳以上て゛しかも特に、危険な業務、精神的肉体的に労苦の多い業務
等で功労のある人には55歳以上とされている。 以上については平成15年秋から実施された。
そのうち、『秋の叙勲』については受章者は4,068名。 民間人の受章が増えている。別枠として
外国人に対しては38名であった。 (2003. 11. 3)記
註 次の賞勲局公式ページを参照してください。
勲章・褒章−称えられる栄誉のしるし http://www8.cao.go.jp/intro/kunsho/