杉田 荘治
杉田 荘治
はじめに
アメリカのWisconsin州のMilwaukee市で、数校が州の標準ﾃｽﾄで“良好”:proficiencyを取った生徒
に対して賞品を与えることを計画している。 これをMilwaukee Journal
Sentinel(11/8/2003)号など
から要約しよう。
Ⅰ 州の標準ﾃｽﾄ : The Wisconsin Knowledge and Concepts Examinations :
WKCEs
2003年11月9日 から 21日までの間で、 4年生から8年生までと10年生に対して。
科目はリーディング、国語、数学、理科、社会
Ⅱ 景品提供の学校
1. Case高校の場合
10年生で、このﾃｽﾄを受けた生徒全員に映画の無料パスを与え、さらに“良好”以上の者に10ﾄﾞﾙの
現金またはショッピングセンターの商品券、学校のスピリット・ウェアーその他の賞品を与える。
2. Racin Holick高校の場合
さらに豪華。 成績によりテレビセット、DVDプレーヤー、CDセットなどが準備される。昨年は学校の
成績が極端に悪かったので。
3. Arrowhead高校の場合
テレビの景品付きクイズのような景品を用意していて、先週、高校2年生に対してガイダンス・カウン
セラーから説明された。 またこのﾃｽﾄで“良好”以上の成績を取れば、その科目については定期学期
ﾃｽﾄを受けなくてもよい。
4. Gifford小学校その他の場合
この学校もRacine地区にあるが、ﾃｽﾄを受ける4年生に対して映画の割引パスが与えられ、また匿名
者提供のご馳走も用意される。 またこの地区のある中等学校の校長から親あてのメッセージによれば、
8年生のﾃｽﾄの時間は7:20 - 7:40と早い時間でもあるので朝食が準備される。チーズ、ナット、ピーナス
バターのトースト、ビーフステーキ・ハムなど。この朝食はある会社からのサービスである。
5. Bay Part高校の場合
この高校はHoward Sunico教育区にあるが、このﾃｽﾄで“良好”を取れば、定期ﾃｽﾄの悪い得点を取り消
すことができるようにした。また“優”を取った生徒には最上級生の授業も受けれることも考慮する。
Ⅲ それらの理由
新教育改革法によって、成績が悪く｢改善を要する学校｣に指定されことを避けたいとするためであるが、
しかし生徒にとっては、この州の標準ﾃｽﾄの成績は進級や卒業には影響しないことになっているので力
を入れなかったからである。
Ⅳ 批判
生徒をペットのように取り扱い、目の前に好みの物をぶら下げるような方法で失礼である、との批判がある
が、しかし学校当局は前述のような理由を挙げて、このままに放置すれば学校はさらに悪くなると反論して
いる。 現に今、多くの生徒は予習もし｢真剣である。 今、緊張している｣と語っている。しかし今のところ教
委からの許可を待っている段階である。 資料: Associated Press (11/9/2003)
コメント
ご覧のとおり。 まだ教委からの正式の許可がないようであるが、しかし一校だけではなく多くの学校の
現実的な対策であり、既に学校側から生徒に説明したところもあったりして、容易には不許可とすることは
できないであろう。 わが国の場合は、いわゆる各生徒の“平素の点”に加味する方法が普通であろう。
2003. 11. 16記