LM外伝Part6:地上の復活
あたたかくて、なつかしい。
そう、それが私の“肉体”
久しぶりに感じる生身の生命力
今まで封じされていた、その思いが解放される
その清々しさ・・・
眼下で繰り広げられる阿鼻叫喚の図、
小賢しい存在が、自らが最高の者と勘違いした者達が
短い一生を少しでも伸ばそうと敢え無い努力を振りかざしている。
愚かしく、情けなく、それで居て嗜虐心を煽る。
その中の幾つかには見応えのある物が在った。
人の身にして神秘を解き明かせし者、
神性を持ちながら人に身をやつしている者、
邪悪な力を欲し人を捨て去りし者。
一つの“エネルギー”を感じた。
あの姿は見覚えがある・・・確か・・・“ハカイノタイテイ”。
「あー・・・やっとお目覚めかよ、大変だったぜぇ。」
一瞬誰だか分からなかった。が、それが私の主人(と言う訳でもないが)の “破壊の大帝”であることを思い出した。記憶装置がガタが来ていたのだろうか? 少々検索に戸惑ったらしい。
「えーっとあのぉー・・・何かあったのでしょうか?(^^;;;;」
「天変地異だよ、天より禍来たりてって感じかな。
悪魔が来たりて笛を吹いても誰もビックリせんって位だったさ。」
天変・・・地異ですか・・・そう言われて見ると洞窟の外はかなりさっぱりしている。 あれだけ乱立していたドラゴンタワーがほとんど見えない。
「もーすげーぜ、でっかい彗星がぶち当たってさ。その衝撃でアウドムラは檻を越えるわ、 モンスターは狂暴化するわ。聖地は出入り禁止になるわ。 一番困ったのは召喚が不可能に成った事だね。マジでやばかったね。」
「召喚不可能!!とんでもない事態じゃないですか!!」
「あーもーくそとんでもねーさね。多分オーブが彗星の影響で 機能しなくなったんだろう。当然国家は自然消滅、 モンスター退治でめいっぱいだったさ、奴まで復活しやがって・・・」
そこまで喋って、大帝はふと言葉をとぎる。そして、感慨深そうな顔になった。
「かなりの命が散ったと思うよ・・・まぁ、今はモンスターも大人しくなって うちら召喚士も召喚能力復活したけどね。」
・・・そうか・・・私が気がつかない間にそんな大変な事とが起きてたのですね・・・。
「折角残虐シーン、ビデオに撮って後で売り払おうとか思ってたのに、オメーはずっと起きないし。」
他人の災害を売るかあんたは・・・と思ったが、急に不安になって尋ねた。
「ちょ、ちょっと待って下さいよ、私が“スリープ”したのって・・・」
「んー五ヶ月くらい前だな・・・異変が起きるちょっと前。」
「五ヶ月も!!そんなに長い間私、再起動されなかったのですか!!」
「君も彗星の影響だと思ってさ、捨てなかったのは正解だったね。
異変が去ったら再起動すると思ってたら案の定だったさ。」
そう言って破壊の大帝は年甲斐もなく悪戯そうな笑顔を見せると、言葉を続けた。
「なんせ、ワシが惚けても誰も突っ込んでくれないんだもん〜しんどいさ。」
「ボケるなーっつ!!(^^;;;;;」
大帝はくすっ、と微笑んで、元気良く立ち上がった。
「さて行くか、ダンジョンハンター様の復活だぜ!」
「“ダンジョンマスター”じゃないから威張れません(^^;」
それはきついな・・・彼は苦笑しつつ・・・そして再び旅は始まった。