雑記:『レディ・プレイヤー1』

破壊の大帝:
はいはーい。映画大好き大帝さんですよー

LM仮面:
そういうの、似合わないから辞めて頂きたいのですが……

破壊の大帝:
(ガン無視して)今回は大ヒット上映中、スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』を取り上げてみるのですよ。
鑑賞前提で話していくので、観てない方は戻るボタンのクリック推奨ですよ。

LM仮面:
えーっと、オンラインゲームの話ですかね?

破壊の大帝:
一つのオンライゲームの終焉の話?

LM仮面:
んんん?

破壊の大帝:
という感じの考察ですね。特に賛否両論のラストシーンについてとか、そんな感じで。

LM仮面:
あーそっち行きますか。
大帝さんのことだから、パロディについて押さえていくかと思ってしまいましたよ。

破壊の大帝:
……良いんだな?

LM仮面:
え?

破壊の大帝:
ワシ、本気で語ると「聖なる手榴弾(ホーリーハンドグレネード)」だけでずっと喋ってられるけど、良いんだな?

LM仮面:
……えー、それは……

破壊の大帝:
何より、このサイトが「破壊の大帝ぐれねーど」なのも、ソコからやで?

LM仮面:
っっ!?

破壊の大帝:
まぁ、そこは一旦置くわけですが……ってかさ、「クールジャパン」とか言ってる輩に見せたいよね、この作品。
多分、日本製のネタはおろか、最初のデロリアンすら認識できないぜ?

LM仮面:
いやいや、そっちに流れても困りますよ。

破壊の大帝:
……っと、これぐらい喋っとけばネタバレ部分は目につかないかな?

LM仮面:
ログ流しでしたか(苦笑
大丈夫だと思いますよ?

破壊の大帝:
んーっとさ、ラストさ、主人公とヒロインがチュッチュしながら「リアルが大事ー」みたいなこと言っててさ。

LM仮面:
いきなり核心ですか(汗

破壊の大帝:
多分、ここで「そだねー」って思うのは、罠だと思うのですよ。スピルバーグ監督の。

LM仮面:
お?

破壊の大帝:
これだけネタ詰め込んだ作品だから、実はメタな部分で仕込んでるって方が正解かなーっと思ってさ。
なので今回、本気で私の妄言なので覚悟してください。

LM仮面:
いつものことじゃないですかー(お約束

破壊の大帝:
まずさ、主人公ウェイドのアバターが「パーシヴァル」じゃん。冒頭でもわざわざ「聖杯を見つけた騎士」って念押ししてくるぐらい。

LM仮面:
アーサー王伝説の聖杯物語ですね。

破壊の大帝:
なんで見つけられたかって、童貞だったのよ。パーシヴァルが童貞設定じゃない(子供が居る)場合もあるけど、その時は聖杯見つけられないルートね。

LM仮面:
……む?

破壊の大帝:
方やヒロインは「アルテミス」じゃん。言わずもがなの処女神なワケですよ。ただし、童貞と処女、この2つのワードは作中では伏せられている。

LM仮面:
…………むむ?

破壊の大帝:
繰り返すけど、そんな二人(の中の人か)がチュッチュしながら、更にいえばチュッチュ以上のことも当然やってるだろうことを匂わせつつ「リアルが大事」とか言ってるわけですわ。

LM仮面:
何か……結構重大な見落としを感じてきますね……

破壊の大帝:
もう少し話を巻き戻そうか? あの『「イースターエッグを探せ! イベント」のアップデート』は、製作者のハリデーが自分の死と同時に5年前に行われたワケですよ。
そしてその報酬は非常に大きい。リアルが吹っ飛んじゃうぐらいにね。

LM仮面:
だからこそ、IOIも手段を選ばず争奪戦に乗り込んできたと。

破壊の大帝:
はいそれ、終わっちゃったんだー。
なので、これ以降はワンチャンない。

LM仮面:
……あ、そうですね……

破壊の大帝:
もう一ついえば、「ハリデーの手による最後のアップデート」……つまり、「オアシスの最後の大型アップデート」ってことなのよね。
と、言うことは?

LM仮面:
……これ、「ゲーム」としては詰んでませんか?

破壊の大帝:
イグザクトリィ。多分、コア部分なんかは天才ハリデーが作っちゃったので触れない。
「世界」としては完結しちゃってるわけですよ。と、なると如何に維持していくか、というところに焦点が当てざるえない。

LM仮面:
……そこを、主人公に託したわけですね。

破壊の大帝:
そして「あなたは何だ?」という問いには答えず、「ハリデー」は消える。
イースターエッグを受け取ったウェイドの歓喜の姿を見て、冷血漢のソレントさえ敵意を失う。
ホントに「神話」の世界なのよ。ウェイドがサマンサにキスするまでは。

LM仮面:
ああ……そうですね。そこから先は「リアル」な話ですよね……

破壊の大帝:
なので、この作品の視聴者に提示されるのは「神話」の部分とその後の後日談。
ラストの戦いは神々の黄昏であるし(だからわざわざ氷結の世界なんだ)、人の世の始まりの提示。
ただ、人の世の続きを見せても退屈なだけなので、だからこそ、これだけ小ネタに走った作品なのに、エンドロールの後にはなにもない。

LM仮面:
完結……しちゃっているからですか……

破壊の大帝:
だから、「リアルが大事」ってのも仕方ないのですよ。「オアシス」はその役目を一つ終えている。
ゲームとしてよりもコミュニケーションツールにシフトしていくんじゃないかな、と思うわけです。

LM仮面:
なるほど、すべてが終わった後だから「リアルが大事」と言えるわけですね。

破壊の大帝:
なーので、別にこちら側(視聴者側)に対して言ってるわけじゃないんじゃないかなーってのがその1ね。

LM仮面:
おや? その1ってことはまだありますか?

破壊の大帝:
「イースターエッグ」って言い張ってたからうっかりしてたけど、「黄金の卵」なのよね。

LM仮面:
何かの象徴ということですか?

破壊の大帝:
そりゃ、「絶対者」であるハリデーが持ってんだから、相対者、黄金の胎児(ヒラニア・ガルパ)に至るものじゃん。

LM仮面:
……えっと、もしやそれは『孔子暗黒伝』のお話ですか?

破壊の大帝:
すべてが死に絶える場所で生き返る、これがアートマンでなくて何であろうか?

LM仮面:
……大帝さん? それはちょっと飛躍が過ぎますよ?

破壊の大帝:
んーま―実は半分冗談なんだけど…… 死んだはずのハリデーの問題が残ってるわけよ。

LM仮面:
んー確かに、先にも触れてますがボカされたままですね。

破壊の大帝:
相手の挙動に反応する、単なるAIならば「子供の頃の自分」を見たりしない。
あのシーンはオアシスの中のハリデーが「意思/自我を持っている」ことを示しているんだよね。

LM仮面:
なるほど……ということは……

破壊の大帝:
『攻殻機動隊』的に“ゴースト”なのか、それとも他の「何か」かはしらない。
けれど、「オアシス」に意思を残し続ける事を可能にするモノが存在する、と仮定した場合……

LM仮面:
転生…… 卵……

破壊の大帝:
最初からさんざん「アイテム(言語では多分アーティファクト)」について触れているからね。
コンテニュー出来るコインが有るなら、そして「ハリデー」を見る限り、あるいは……
なのだけどッ!

LM仮面:
だけど?

破壊の大帝:
この時点でウェイドの心はサマンサに向いてたから、そのルートは無かった感じじゃないかなーと。

LM仮面:
もしかしたら、気づきながら無視したかも知れませんね。黄金の卵がアーティファクトであること。

破壊の大帝:
電脳モノにはありそうなオチじゃん? でも、永遠の命が授かるかもしれないのに回避しちゃった。
だからこそ「リアルが大事」って事を逆に強調してる……かなーと。

LM仮面:
……そういわれてみると、「仲間だ」「絆だ」って言ってる以上、別に男女の愛情で〆る必要ありませんよね。

破壊の大帝:
かくして英雄と女神は永遠の世界に背を向けて、現し世を選んだのでありました。終わり。

LM仮面:
……っとなると、やはり「リアルが大事」なセリフを鵜呑みにするのは少々危険ですね。

破壊の大帝:
んーまー、現実問題、生きていくためにはリアル大事なんだけどさ。
ただ、VRの世界で稼げるなら、そこんトコ固執する必要はないよねーっとは思ってる。

LM仮面:
でも、まだそこまで行ってないですよね。

破壊の大帝:
うん、行ってない。まだまだ「リアルが大事」というより「リアル以外認めない」層が厚い。
そうでなくても、例えばVR環境でSEX出来るように成ったとしても、生殖までしようと思ったらまだまだ技術が足りないし、育てるのもリアル側じゃないと無理だしね。
この辺が全部オートマティックに行ければ、そりゃ良さげだけどさ。

LM仮面:
そこまで行くと『マトリックス』ですよ。

破壊の大帝:
んー、ほんと、ディストピアぎりぎり回避しました! ってのがスピルバーグ監督の腕の見せ所だよなーって思うわ(笑

LM仮面:
そろそろまとめますか?

破壊の大帝:
っと、だらだら語ってみたけど、文句なしに面白い作品なので是非劇場にて御覧ください。

LM仮面:
やっぱり映画館ですか?

破壊の大帝:
や、DVDや配信だと一時停止したくなりすぎるから(笑

LM仮面:
なるほど(笑

破壊の大帝:
では今日はこの曲でお別れましょう。「We Are The Golden Eggs」。

LM仮面:
複数形!

破壊の大帝:
最後ぐらいボケなきゃ(笑

LM仮面:
いつもボケてるじゃないですかー!


破壊の大帝ぐれねーどへ