天羽つばさ
「勢ッ!!」
紅炎の足蹴りは光と共に、幾重にも縒り分かれて群がる奇形の侏儒達を、木の葉の如く吹き飛ばす。魔界の侵攻を阻止せんが為、天より舞い降りた守護者、天羽つばさ。普段は女子高の生徒に身を窶し、人界の危機を影ながらに救っていた。幾多の魔を葬ってきた彼女であるが、今は焦りで一杯である。単体では雑魚に他ならぬ下級妖魔達が、倒しても倒しても、次々と沸いて出た。
「もうっ、しつっこいっ!!」
重い拳が、ふくよかな腰に跳びついた物怪を薙ぎ払う。天の力を具現化したスーツは、つばさの身体を邪気から守り、彼女の力を幾倍にも強化する。S字を描く優美な背中にも、豊満で型崩れしない円い乳房にも、好色そうな貌でむしゃぶりつこうとする妖魔たち。戦闘装束の回復効果で肉体的な疲れは感じないが、相手は簡単に倒れてくれる。火の粉を払うが如き単純作業に、倦怠感が積もっていた。
「しまった!」
屠ふった化物の屍を、思い切り踏みつけてしまった。足裏の嘔吐的な感触に気を取られて、刹那の隙が生じる。
「おお、やっと罠に掛かりおった」
気が付くと地面に押し倒されていた。どこに控えていたのか、上位の魔物が数体、ご丁寧に術的結界を張って、つばさの力を半減させている。
「お主の美しさに目が眩んでの」
「天使と交媾わば、千年長寿請けあいじゃ」
古びた嗄れ声は嬉々として、女なら誰しも背筋に虫唾が走るだろう。つばさも例外ではない。否、彼女はすらりと背が高く、凛と香ってくる色香を持っている。魔族には特上のご馳走に見えるだろう。
「まさに天女よ。この乳房の張りはどうじゃ。むっちりとした太腿のまろやかさはどうじゃ。おお、茹れが止まらぬ」
「バカ言わないでよ!!」
「胸が見たいな。 片方だけで良い」
つばさの意思を無視し、刃のような一閃が胸部を裂く。ぶるんと振えながら、見事な爆乳が晒された。彼女の顔が恥かしさに染まったが、乳房は本人お構いなしに揺れ続く。
「ほおお、眼福、眼福」
「このまま犯すか」
「まずは儂が毒見するかの」
のっそりと、巨大な妖魔が姿を現す。楕円形の胴体に申し訳程度の太い足。幾本もの触手が冒涜的に波打っている。つばさは息を呑み込んだ。尤も太い触手は明らかに男性自身。これで犯されるのだ。
「やめてぇっ! そんなの入らないッ!」
「それもそうじゃ。まずは良く良く湿らせねばなるまいな」
単眼のギラギラとした輝きは、つばさにたいする欲望の深さ。後ろから抱え込むように、触手が彼女に巻きついた。
「やぁんっ!! 汚いっ! 放してっ!!」
触手の先は柔毛に覆われて、女性の敏感な部分をちろちろと舌の様に這って行く。
あれ…オカシイな…。
力が篭らない。いや、段々と弛緩していく自分自身に、つばさは戸惑いを隠せない。元々天上のもの故に、肉の誘惑には耐性が無いのだ。内股にひくりと力が篭る。秘所が次第に熱くなる。
歳の割に発達した乳房を、ぎゅうと締め上げる。痛みと共に被虐の喜びが走る。つばさは慌ててそれを否定するが、彼女には休息は与えられない。
「そぉれっ」
「うひぃっ!!」
ずぼずぼずぼ………膣襞を抉りながら、極太の触手に貫かれる。
「おぉぅ、頗る良い具合じゃ。極上じゃ」
巨大な物を狭い所に捻じり込んでいるのだから、キツイのは当たり前。だが、きゅうと可憐なまでに収斂を繰り返す彼女の膣は、意思とは裏腹に性感を求めていた。
人外の男根は、一つの形に留まらない。抽出運動とは別にグネグネと蠢いて、指よりも細かい愛撫を女性器の中で展開する。
「堪らぬじゃろ。心地良いじゃろ?」
こり、こりと蜜壷の奥の敏感な所を突付く。グリグリと最奥を攻める。
「遠慮は要らぬ、存分に善がり狂うが良い」
つばさは目を白黒させて、自分の身体に響き渡る快の大波に溺れ始めていた。
「あっ、ああっ!! イ…イクっ? 淫魔にッ 淫魔なんかにイかされるぅっ!?」
性的絶頂と共に、自虐的な喜びが溢れた。
「はぅっ!? またっ!? うそッ!? えっ!?」
責め場所を的確にこと生じる連続オーガズム。どんな貞淑な乙女でも、雌に堕ちる。
「病み憑きに、成るぞ?」
「はぁ、うぅ…ああ…」
絶頂に継ぐ絶頂、人間ならば脳が焦げ付いて死に到るだろう狂喜の連続攻撃に、つばさは2時間も晒されていた。だが、強靭な彼女の精神はまだ壊されてはいなかった。
「さすがは同胞百騎を討ち果たした者よ。息があるとは見あげたものじゃ」
「肝要なのはそこじゃ、此奴には百鬼を産み落してもらわねば、数が合わぬ」
空耳の様に、彼等の声が聞こえてくる。ぼんやりした意識も急に呼び覚まされる。
「うそッ! ヤメテッ!!」
「我等の子種を植えてやろうぞ」
犇き、泥の様に見える化物の軍勢から卵の詰まった産卵管が生え出し、つばさの陰門へと狙いを定める。拳ほどの卵は絶えず震えている。
「儂のモノを受け入れたのじゃ。このくらいは軽かろう」
「胸を擽ってやろう」
ウミユリを思わせる搾乳管が生み出された。冷たい粘液を滴らせながら、ぴちょり、と乳肉に張り付いた。
「ヒッ…… おっぱい…おっぱいぃ…」
リズミカルに巨乳を揉み解す。そして、敏感に勃起した朱に染まった登頂を吸う。舐める。甘噛みする。右胸の刺激は、左の乳房を火照らせる。火照りは次第に、脇腹や咽元、更に敏感な部分へと飛び火して行く。
「折角じゃ、コチラの穴も弄ってやろう」
「うはぁっ!!」
尻タブがゆっくりと押し広げられる。一度、二度、三度と徐々に解き解され、快楽に緩んでいた菊門がきゅうっと窄まった。
「いっ…ひっ… ひぃっ………」
巨根に貫かれた時の、激しく狂おしい感覚とは異なる、甘く気怠い感覚。つばさの意識は絶え絶えになり、全身の力が抜けて行く。
「そろそろ頃合じゃ」
「わ、や…おなか…私のおなかぁ……」
合図と共に、産卵管が動き始めた。蜜が溢れんばかりの花弁を丁寧に押し開き、膣道をゆっくりと、満遍なく蹂躙する。
「うんっ!! はぁっ!!」
柔肉に、絶え間無く与えられる震動は、彼女の雌性を刺激する。狭いはずの子宮口もこの世の法則を無視した存在には性感帯でしかない。女の喜びで弾け飛びそうだ。
「うわぁああんっ!! おなか…響くぅ!!」
子宮は大きく膨れ上がる。中は全てバイブが詰まっていると思えば良い。つばさは更なる高みへと落ちて行くだけだった。
「そろそろ根付いたかの」
全ての卵が少女の胎内に潜り込み、つばさの躯で穢された所が何一つ無くなった後、妖魔たちは彼女から離れ、様子を伺っていた。つばさには、絶望に浸る程の思考も残されていなかった。敗北と、すぐ近くで待っている死。
「そなたの四肢五臓六腑、骨肉筋の余す事無く我等が眷属となろう」
悪魔の種子は大人しくしない。子宮から内臓に沁み出て血流に乗り、つばさのあらゆる細胞と結合し、新たな生命へと胎動を始めていた。
「期待せいよ。身を突き破られ、九穴全てから、お主の子供が飛び出すのじゃ。その時は身を削れば削らるる程、心地好いぞ」
魔物の言う通りだった。もはや愛撫は必要ない、体内が勝手に喜びを生み出し、熱に浮かされたかのような至福を生み出していた。
「女と産まれた以上、これ以上のはあるまい。この快感は冥土の土産には過ぎたものじゃ」
「人でないそちならば、良い仔が産まれそうじゃ。 これで安泰じゃのう」
「この世界も、やがて我等が頂けるの」
もはや、つばさに言葉は届いていない。世界の行く末も、目に見えるものさえ、彼女の頭では判断が出来ない。
既に、子種は脳に達し、脳内麻薬を過剰分泌させている。だが、魔が犯すのは肉体だけではない。魂も犯し尽くす。その霊的エネルギーを自らのモノへと転換するのだ。その引き換えにせつな的な喜びを与える。そして魂を堕落させる。
「あはっ、あはっっ、気持よく…なって…来ちゃった……もう……ダメなの? わたし、別の…ああ、でも…感じちゃう……」
言葉が、勝手に零れ出る。想った事が頭の中に留まらない。それは彼女の命と共にゆっくりと漏れ出して行く。
「壊れるよぉ……死んじゃうよぅ……私が……私じゃ……でもぉ……いいぉ……ああぁ……どうすればいいの? ああでもぉ……」
戸惑いながらも流される女天使は、全てが桃色の輝きに呑み込まれるのを感じていた。
「あ……よくって……死ぬ……私……なくな…… キモチイぃ……いっ……いぃぃ……」
つばさの意識は尽きた。彼女の身体が残っていたのは少しの間、新たに産まれた妖魔の群れと、申し訳程度に残った天界の衣服だけだった。