ヨリちゃん
彼女の鼓動が、俺の脈動と呼応する。
ヨリちゃんが俺の上を這うと、肌にぽつぽつと鳥肌が立つ。
それは嫌悪の為ではない。ひんやりとした彼女の体温が、俺の感覚に響いてくるからだ。
自慢ではないが、毎日朝晩、百回の腹筋を欠かさない。
割れた肉の間を、彼女の爪がすべり、舐める。
ヨリちゃんはカメレオンだ。
こうなったのも、ほんのチョットした好奇心。
ベッドの上に横たわる俺の身体に、何気なく彼女を載せてみたのが始まりだった。
おかしな話だし、他人に知られるとマズイ。それは自覚している。
だが、今もこうして、彼女がは俺のソレを握りしめている。
一歩一歩、確かめるように登って行く。
ギンギンに張りつめている部分が、一瞬締め付けられるように形を変える。
ヨリちゃんは驚いたように、力を緩める。
元に戻る俺の部分はさらなる快感を求めて、硬さを増す。
そしてまた、彼女の爪が掛かる。
カメレオン特有のぎこちない焦らすかのような動きが、返って気持ちよさを増幅させる。
彼女の指先が、俺の一番広い所に触れる。
彼女のお気に入りの場所だ。
爬虫類の冷たい肌が、火照った場所に心地良い。
カメレオンの両足は、樹をつかむのに丁度よいように二股に分かれている。
強く、激しい握りは痛みギリギリの快感で俺を翻弄する。
どうしてカメレオンなんか飼うことになったのだろう。
こうしていると何時も、浮かんでは消える後悔と不安。
直にそんなことを考える余裕もなくなってしまう。
カメレオンは動くモノを餌として認識する。
止まっているモノは認識できないために、ヨリちゃんは自分の体を小刻みに揺らす。
振動は、熱く硬くなっている俺の先端に寄り集まる。
袋に近い部分には彼女のしっぽ。
もちろん、彼女が揺れるたびに、絶妙な刺激が深まっていく。
しゅん。震える俺の胸の先を、ヨリちゃんの舌がえぐる。
ぴくん。
全身が震えると、彼女はさらに、激しさを増す。
しゅっ、しゅっ。
痛みはない。指で弾かれるような感覚だ。
体中に、電流が走る。
爬虫類に弄ばれていることを実感するとき、背徳的な感覚が、情欲の灯に油を注ぐ。
小刻みに震える俺の筋肉も、彼女には美味しそうに見えるのだろう。 ヨリちゃんの舌は、俺の体全体に行き渡る。
俺の感じるところを知っているかのように、的確に。そして丹念に
じわり。体中から汗がにじむ。
丸められた尻尾が、次第に伸ばされて、俺の裏側へとたどり着く。
入口付近が、ねっとりと濃厚に触れられる。
思わず、ため息が漏れる。
執拗に、そして大胆に、彼女は意識していないのだろうが、
ひくつくその部分は、彼女によって蹂躙される。
にゅるり……
一瞬、緩んだ俺のすぼまりが、彼女の挿入を許す。 過敏になった粘膜は彼女の尻尾が与える刺激に過敏に反応する。
そして、普段ならば触れる事すらない場所が押し上げられる。
こんな所で感じてしまうなんて、バレては生きていけないだろう。
普通の生活を送る事が、出来なくなってしまう。
先端からにじみ出る液体を、ヨリちゃんはペロペロと舐め始めた。
強烈な刺激に、全身の力が抜ける。
彼女の唾液と俺の汁で、ぬめり始めた俺の分身全体を、強く握りしめる。
結果として、強い力でしごかれることになる。
頭の裏側に霧が掛かる。
心地よい、忘我の圧迫感が血液とともに循環し、
熱く滾った粘液となって、一か所へと集約する。
そこには、彼女が鎮座している。
集まった熱に反応したかのように、
彼女の動きが、急に激しくなる。
裏側からも、俺は突き上げられる。
そして、限界が、激しい閃光となって俺を打ち抜く。
俺の全身に、俺のエキスが降りかかる。
しかし、彼女はここからだ。
俺の興奮が冷めやらぬ間に、飛び散った白濁液を丹念に舐める。
限度を超したくすぐったさが俺を襲うが、彼女はお構いなしだ。
俺はただ、なすがままに喘ぎ続ける。
再び硬直する、俺の分身。
敏感になったそこに、速やかに精が集まって行く。
そしてまた、俺の絶叫とともに、俺の命がぶちまけられる。
いつも、俺が気を失うまで、儀式は続けられる。
翌朝。
気だるくも、全てを吐き出した後の爽やかさで目が覚める。
ヨリちゃんは、既に萎えた俺自身から離れ、
ベッドの端でクリクリと目を動かして、俺におはようの挨拶をしてくれる。
ああ、なんという可愛らしさだろう。
ヨリちゃんをゲージに戻す前に、キスをする。
そして俺は、普段の生活に溶け込んでいくのだ。
彼女がいてくれれば、何も、怖くはない。