議員ウハウハ党 演説




お忙しいさなか、今回立候補に預かります毛家泰三が最後のお願いに上がりました。

私、毛家泰三はひとえに、特権階級のために、いうなれば私利私欲のために、今回の選挙に立候補致します。


改革なんぞやられては、おまんまの食い上げでございます。

誰にでもわかる政府などになられては、影で良い想いができなくなります。


私ども、議員ウハウハ党は全族議員の生活を守り、国民の皆様が喜んで税金を払いながらその行く末に興味を持たない、

今までどおりの住み良き日本を守るため、日夜全力で戦っております。


皆様の税金は、この我々が責任を持って散財いたします。私たちの懐を暖かくしてください。

皆様は、ただ毎日、汗水垂らして働いていただければ結構なのです。

政治の世界など気にして戴かないほうが、我々も存分に楽が出来るのです。


国会審議、あんなものは見ない方がよろしいのです。誰が居眠りしているかなど、

国民の皆様はご存じないほうが、我々としても、安心して惰眠をむさぼることが出来るのです。

あんな報道は本当はしたくないのです。しかし、コチラも建前と言うものがあります。お察しのほどお願いします。


しかしながら、マスコミはお金で動きます。奴らはタダでは動きませんが、金さえあればよく働いてくれます。

我々の利益になっていただけます。皆様はただ、テレビや週刊誌をみて頷いていただければ結構なのです。

そして、選挙の際にはまずもって、議員ウハウハ党に入れて戴ければそれで我々は安心なのであります。


もちろん、この私、毛家泰三がいいものを食い、いいものを着て、いい女を侍らせるのも、

権力と金力が必要になります。それはどこから来るのか、国民の皆様の双肩に掛かっているのです。

あなた方が一生懸命、牛馬の如く働けば働くほど、そして税金の使い道に意識が無いほど、

我々は富み栄えることになります。決して、国家予算などに興味を持たないで戴きたいと謹んでお願い申し上げます。


国の利益など、二の次三の次で結構なのです。ただ、我々は自分の懐を肥やしたい。

人々から先生、先生とゴマをすられて鼻を高くしたい、それだけなのであります。

世の中には奇特にも、マジメな議員なるものが存在しますが、それは間違いです。

議員たるもの、国を食い物にするのが正義です。自分の欲望に忠実でなくして何が議員でしょうか。

世の中で、楽して儲けられる数少ない職業の一つが、議員になることなのです。

それももう、向こうから金がやってきます。我々はただ座り、金を持ってくる連中に対して

便宜を図る、それだけで十分なのです。便宜を図った分、国家の財政は傾きますが、

それは私どもの財布ではありません、皆様方の財布です。それゆえ、良心の仮借なく散財することが出来るのです。


現在、日本には莫大な借金がありますが、そんなものは後の世代に任せればよいことであり、

今やることではありません。少なくとも、私どもは知ったことではありません。

少なくとも、私の命の尽きるまで持っていただければ、後は野となれ山となれ、関係の無いことなのであります。

もちろん、国民の皆様には膨大な負担を強いることとなりますが、我々議員ウハウハ党のために、

率先して犠牲となって戴けるよう、皆様のご理解を期待するものであります。

首を吊ろうが、臓器を売ろうが構いません。妻や娘を借金のカタに取られるのも結構であります。

ただ、我々には非が及ばないように、それだけは愚鈍な皆様がたにお願いするものであります。


私、毛家泰三は妻に支えられております。

念願かなって当選の暁には、妻への公約、ヨーロッパブランド物買占めツワーを、

公費を用いて果たす所存であります。お土産も、全て国費からまかなおうと思っております。

私は、自分以外のことに、一銭も使おうとは思いません! これだけは断言いたします!


私は、他人に頭を下げるのは嫌いであります。もう、反吐が出るほど嫌いであります。

その私が、こうして頭を下げて、皆様にお願いをしている。それほどまでに議員と言うのは

素敵な職業なのであります。どうか皆様、私に力を貸してください、そして安楽な生活を約束させてください。

あなた方が如何なるウサギ小屋であっても構いません。私だけは豪邸に住みたい、プール付きの家に住みたいのです。


さぁ皆様がた、議員ウハウハ党、議員ウハウハ党をよろしくお願いします。

引いても、この私、毛家泰三、毛家泰三をお忘れなきよう重ねてお願いいたします。

ぶっちゃけ、他の候補はどうでも良いのです。私の尻馬に乗ってる連中です。

ウハウハなのはこの私一人で十分です。この私、毛家泰三を当選させてください。

今後とも、皆様から甘い汁を吸わせて戴けるよう、心からお願いする次第でございます。





蛇足

誰か既にやってるかもしれませんが、常々思っていることを吐露ってみました。
議員ってのは所詮、一職業であり、なるのは難しいですが、身分でも階級でもありません。
世には、議員とは毛家氏の如き類の魑魅魍魎ばかりで、政治に首を突っ込むのも汚らわしいと
お思いの方もいらっしゃると思います。しかし、彼らは国民の監視が無ければ連中は信号無視ほどの気軽さで
国の利益を売り払います。人々の関心が無くなれば無くなるほど、盗人のように大胆に行動しますし、
何せ奴らは、国民の無知に付け込みます。自分のためなら、幾らでも嘘をつきうる連中です。
今の世代が政治に興味が無いのは、彼らの苦労の賜物なのですよ、奥さん。

そんなわけで、選挙には行きましょう。
最善ではなくても、最悪を避けたい所ですよ。


???